(二)この世界ごと愛したい
「トキのお部屋に行って来ます!」
「お前今日は絶対夜戻ってこいよ!?」
「…約束は出来ません。」
「しろよ!?」
うるさいアキトを振り切って、私はトキの部屋に向かうためトキに声をかける。
トキはそんなアキトを宥めてくれる。
「今夜はちゃんとアキトに返すから。」
「シオンにあんま近付けんなよ!?」
「分かった分かった。俺が気を付ける。アキトも二日酔いでヘトヘトじゃん。休める内に休んで明日に備えてね。」
トキは猛獣使いのように見事アキトを鎮める。
大人しくなったアキトは、そのまま自室に戻って行ったので。
「鷹!鷹見に行こうっ!」
「リンは本当に可愛いね。アキトが気の毒だよ。」
「シオン将軍も早くっ!」
「……。」
三人でトキの部屋に再び戻ってきて。
すぐにシオン将軍が小さな笛で鷹を呼び寄せる。
「トキも鷹飼ってるの?」
「うん。実家そういう立場だし。エゼルタでは割と主流な情報伝達の手法だよ。」
「すごいなー。いいなー。私も鷹ほしいなー。」
鷹ってどこで買えるんだ?
それもエゼルタに行けば普通に売ってるものなのか?
「…試してみるか。」
「え?」
「爪気を付けて。」
シオン将軍が自分の肩にいる鷹を、腕に乗せ直して私に差し出す。
え、これをどうしろと!?
「右腕出して。」
「…ちょっと怖いかもしれない。」
「へえ。貴女にも怖いものがあったんですね。」
失礼しちゃう。
私にだって怖いものくらいあります!!!
でもさりげなく、怪我した私の左腕を気にして右腕を指定したその優しさが。
また何とも歯痒い。