(二)この世界ごと愛したい




…しまった。



感情任せに喋りすぎて、思わず恥ずかしいことまで口走ってしまった。





「…あー今の話絶対ハルには言わないでね。たぶん泣かせちゃう。」


「……。」


「ちょっと聞いてる?」


「…少し黙っててください。」




俯いて口元に手を当てるシオン将軍の表情は影で見えないけれど。


黙れと言われたので、私は再びトキに向き直る。




「そのお姫様はなんでトキを虐めるの?」


「…え?あー暇潰しじゃない?俺はここで過ごせる時間をあの女から金で買ってるの。」


「時間をお金で?」


「だからリンが恩賞くれたお陰で、数年はまだここにいられるから安心していいよ?それにシオンもちゃんと俺を助けてくれてるからあんまり責めないでね?」




なんって性悪なお姫様なの!?


王族でお金に困ってるとは思えないから、きっと本当に嫌がらせとしてトキからお金を巻き上げてるんだろう。




…許せないんですけど!!!




「シオン将軍が本気出せば絶対トキのこと助けられるのに!モタモタしてるから私は怒ってるの!」


「いや…シオンにも出来ないことはあるって。リンと違って俺等は王族じゃないし。」


「出来るよ!シオン将軍だもん!!」


「…リンにこんだけ期待されるってシオンが少し憐れだけど。本当にそこまで迷惑かけれないからリンもあんまり心配しないで?」




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