(二)この世界ごと愛したい
マサは友達と呟いて。
今日初めて、ほんの少しの笑みを溢した。
「では次は我が国で会おう。」
「しばらくは予定あるけど、そのうち顔出すね。」
こうして、セザール国境を侵攻していたソル軍は全軍撤退。
アキト軍は無事に勝利した。
「…久々にこんなに剣振ったら疲れた。」
手裏剣で負った傷も地味に痛い。
「リンー。」
「あ、トキー。」
「お疲れ様。リンが時間掛けて戦いを楽しんでる間に予備軍も到着して引き継ぎも終わったよ。」
「す、すみません。」
やっぱり怒られました。
相手が忍者だなんて思わなかったんだもん。
ついテンション上がって、こんなに顔色の悪いトキを付き合わせて本当にすみません。
「…お説教は城に戻ってからかな。アキトが痺れを切らしそうだし。疲れてるのはみんな同じだしね。」
「はい…。ごめんなさい。」
「リンはどうやって戻る?飛んでってもいいし、疲れてるなら荷馬車にでも乗る?」
「夜は目立つから極力飛ばないようにしてるの。だから乗せてくれると嬉しいなー。」
話は纏まり。
私はアキト軍の荷馬車に積んでもらい、荷物の上にごろんと横になっています。
「リンちゃーん!」
「…サク、お疲れ様だったね。」
「リンちゃんもお疲れっす!」
私の乗ってる荷馬車に駆け寄ってきたサク。
サクもまた、怪我を負っているし顔も疲れているように見える。