(二)この世界ごと愛したい
「遅くなってごめんね。」
「なんでリンちゃんが謝るんすか!助けてもらったのは俺らですって!」
「…でも、よかった。」
これでハナちゃんと会わせてあげられる。
「リンちゃんの双剣格好良かったっす!それルイさんの剣じゃないですか!?」
「良く分かったねー。」
「あー、でもルイさん寂しがってるでしょうね。リンちゃん国を追放されたって聞きました。」
「…寂しいのはお互い様だし。それに私は私の、るうはるうの新しい道がもう始まってるからね。」
きっと、将となり。
ハルと共にその名を世界に轟かせるだろう。
「寂しいで言えば、ハナちゃんがサクに会いたいって言ってた。」
「うえっ!?!?」
サクは途端に顔を真っ赤に染める。
「ハナちゃんに、今夜サクと会わせるって言って来ちゃったから。嘘にならずに済みそうでよかった。」
「何か恥ずいっす。リンちゃんに気遣わせてすみません。」
「ううん。可愛くて優しくて素敵な奥さんだね。」
「いやー本当にその通りなんすよ!今となっては結婚出来たらからいいですけど、昔は争奪戦で大変だったっす!」
あれだけ気立てのいい人だ。
男達がほっとかないのも無理はない。それでも勝ち取ったサクはお見事です。
「…大事にね。」
「もちろんです!」
その愛を、大事にしてほしい。
そして待ってる人の元に、これからも無事に帰ってあげてほしい。
還らぬ人となったパパの元を離れようともせず、泣き崩れていたママの姿を見てしまったから。
命あるうちに、大事に出来るだけ存分に大事にしてほしいと思ってしまった。