(二)この世界ごと愛したい
これなら、集中出来る…かな?
しかしモタモタしてると本気で私の集中がまたいつ乱れるか分かりませんので急ごう。
…おーちゃんが危険です。
「水汲み担当と運ぶ担当、建物付近に数人残って!効率良くやりましょう!」
「「はいっ!」」
消火活動班を取り仕切ります。
戦で培った私の統率力を舐めてもらっては困ります。
「お嬢ちゃん!人員補充して来ました!」
「ありがとう。裏手にも回したいから配置よろしく!」
「はい!」
「一階はそろそろ火が弱まってきました!」
「その報告いらない!さっさと二階あがって!」
「はい!」
火が弱まってきたのは、正直なところ消火が始まった時から私も鎮火に掛かっているから。
出来るだけ自然に、バレないように。
これがまた骨が折れる面倒な小細工なので、私は若干血管切れそうです。
「オウスケさんだっ!!!」
「ご無事だ!よかった!」
「逃げ遅れの三人も無事だぞ!!!」
そんなことをしていたら、おーちゃんが取り残されていた人達を抱えて無事に外へ出てきた。
けど私のレーダーに未だ残っている一匹の反応が、まだ建物に向いている。
「お嬢!上の階見に行ったけど残る一人どこにもおらへんで!」
「階じゃなくて上なの!」
「は!?」
「…とりあえずおーちゃんここの指揮よろしく!」
私はおーちゃんに何気にまだ持っていた風船を預けて、入れ替わりで建物の中に入る。
中ではちゃんと消火にあたってくれている街の人が数人。
しかし、中に入ればこの建物の危うさがようやく理解出来た。