(二)この世界ごと愛したい
おーちゃんがまた怒って、私はミケさんが無事で一安心して。
火事も無事に収まって一件落着です。
…ただ、慣れない制御で疲れました。
「お、オウスケさん…。」
「何や?皆揃ってどうしたん?」
「俺達、オウスケさんに甘えてばっかりですまねえ。」
「はあ?」
消火活動を手伝ってくれた方々がおーちゃんに謝りに来たらしい。
「私ミケさんと先に戻ろうか?」
「お嬢ちゃんも、すまなかった。喝入れてくれてありがとな。」
「え?私は別にいいよ?」
「お嬢ちゃんのオウスケさんへの想いに胸打たれたよ。これからもオウスケさんよろしくな。」
「…はい?」
何の話!?!?
おーちゃんもビックリしてこっち見るけど、私も知らないよ!?
「誰もがオウスケさんは大丈夫だって信じて頼りきってる中、お嬢ちゃんだけが助けようって必死だったんで。そういう仲なんだろ?」
「ち、違いますっ!!!」
どういう思考回路してんの!?助けようとするのなんて当たり前のことじゃん!?
それに私が現場にいながら炎関係での死者なんて出しませんから!!!
「お嬢ちゃんなら、きっとオウスケさん幸せに出来ると思う。」
「いや、だから本当に違うの。おーちゃんも何とか言って…え!?おーちゃん風船は!?」
「…はっ?あ、ミケ受け取った時に飛んでいった。」
…はあ!?!?
「信じらんない!」
「俺が買ったんやしええやろ!?」
もうあり得ない。
せっかくミケさん見つかって、今から研究しようって時に。
「…任せるんじゃなかった。」
「はあ!?じゃあ自分で持っとけや!?」
「…もういい。帰る。」
私は仕事が終わった証拠となるミケさんを奪い、カイの酒場へ一人で戻ることにした。
もう私の落ち込み具合はとてつもないです。