(二)この世界ごと愛したい

つまり何だ。


こうして四六時中一緒にこんな近くで過ごすつもりだったってことか！？




「お嬢が今出来ることはここにおることやろ。」


「…カイ、私なんか間違った？」



どうしようもない私はカイに助けを求める。


けど、カイはこの数のお客さんの相手で大忙しのようでバタバタしている。




「お嬢は間違ってへんよ。オウスケ、ちょっと外の護衛一人ヘルプで呼んで来てくれ。」


「…お嬢大人しくしときや。」



すんごく置いていかれてる感あるけど。


おーちゃんのあまりに変わった態度が私に焦りを齎す。



ヒマリさんを好きだと言っていた。確かに他界しているので、現在生きているおーちゃんが今後また誰かと恋愛することは良いんだと思う。


ヒマリさんもおーちゃんの幸せは嬉しいと思う。




…ただ。



その相手が私だと困るんだ。


自意識過剰かもしれないけども、この線引きだけはしっかり保たねば。私がしっかりしなきゃ。





「オウスケさんがようやく前に進めたのは嬉しいが、嬢ちゃん取られたのは悲しい！」


「仕方ねえって。こんだけ可愛い子だし、そりゃオウスケさんだって捨て置けねえよ。俺らに勝ち目はねえ。」


「ヒマリさんも美人だったし、オウスケさん面食いだなー！」


「今度こそ幸せになってほしいもんだ！」



好き放題言われてるんですけど。


私、本当にそんなつもりじゃなくて…って、今更言い出せそうにもない。おーちゃんにも勘違いさせてしまってるなら謝らなきゃいけない。




「カイ、どうしよう。」


「お嬢は何も気にせんでええよ。オウスケはまだ餓鬼やけどアホやないから。」


「でも私…。」


「その優しさはちゃうで。お嬢にはお嬢の人生があるけど、オウスケにもオウスケの人生がある。オウスケがこの先選ぶことを、お嬢は見届けたって。」



おーちゃんの人生。


おーちゃんが決める選択。



私が傷付けたくないと言うある種我が身可愛さで、それを邪魔してはいけないとカイが言っている。