(二)この世界ごと愛したい
「鬼人は…何か聞きにくいか。白狼は?」
「はい?」
「好かれてるんやろ?」
これ答えて何になるの!?
誰得なの!?
「白狼も有名な将軍やけど、戦場で会ったん?」
「…お互い大将戦じゃなかったけどね。」
「てことは結構前やな。白狼今は全戦大将やっとるし。お嬢もそうやったやん。」
「シオンには別に好かれてるか分かんないよ。嫌いではないって言ってたけど。」
そう信じたいんです。
あんな戦の申し子みたいな人に好かれるなんて、恐れ多すぎるので。
「あの女嫌いが嫌いじゃないって言うたんやったら、もう好きと同義やな。」
「…やめよ。この話もうやめよ。」
「他にはお嬢のこと好きな奴おらへんの?」
「それ聞いてどうするの!?」
さっきから取り調べみたいですけど!?
私他の席のお兄さんたちのお話聞きたいんですけど!?
「てことはおるんやな。」
「…とにかくおーちゃん、ちょっと落ち着こうか。」
「落ち着いとるけど。」
「私恋愛話よりも戦関係の話の方が好きなんだよね。」
「やっぱ女ちゃうな。」
ほっといてください。
「そういや、ソルの忍軍が今ヤバいって聞いたか?」
「知らねえ。忍軍って忍者ばっかり掻き集めたソル自慢の軍隊だろ。ヤバいって何だよ。」
「何か内輪揉めで崩壊の危機らしいぜ。」
「内輪揉めかー。そのまま消滅してくれれば、この国は更に安泰だなー。」
こういう話に興味があるんです、私は。