(二)この世界ごと愛したい
推察だけど、マサはたぶん忍軍の将軍なんだろう。
何人の将軍がいる軍かは知らないから、後でカイに聞いてみよう。
内輪揉めで崩壊。
その発端は、私なのかもしれない。
…マサ、どうか生きててほしい。
「…ほんまに目の色変わるな。」
「これからハルが進軍する国だしね。友達もいるし。」
「へえ。」
戦の話が耳に入れば目の色が変わると言われた。
ややこしい話だけど、勿論瞳の色は変わっておりません。赴きが傾くと言うだけのもの。
本日も大繁盛のカイの酒場。
大賑わいでお客さんの入れ替わりもありつつ、昨日よりも閉店時間を遅らせて臨機応変に対応したカイ。
私もお客さん同士の会話に耳を澄ませて、合間でおーちゃんに横槍を入れられたりしながらだけど。今日も有意義な時間を過ごせた。
そんな私が長時間飲み続けたもので、カイが計算した私の酒代におーちゃんが驚いていた。
「の、飲み過ぎやろ!?」
「お嬢の飲み代払う言うたんやから、しっかり払ってやー。」
「遠慮なしに浴びるように飲んでくれたな。」
男に二言はないと、お支払いしたおーちゃん。
今日はお店の片付けも護衛の方が請け負っていて、カイはようやく休憩出来ている様子。
「お疲れ様?」
「んー。お嬢見てるだけで癒されるから俺は大丈夫やで。」
「恐縮です。」