(二)この世界ごと愛したい
何となく、レンに許してもらえた気がした。
「もう逃げないよ。」
「怪我したらちゃんと来る?」
「来る来る。」
「怪我してなくても来る?」
「それは状況による。」
私が正直に打ち明けると、それはそれでムッとするレン。
今はカイの仕事の関係で私が自由に動きすぎると、儲け話に穴が開く可能性がある。
「あ、でも私もレンに予定聞きたかったの。」
「予定?」
「どこかのタイミングで一週間くらい城離れられないかな?」
「どうして?」
もうかなり昔にも感じてしまうが。
王宮で話した何気ない会話を、私は忘れてはいない。
「一緒にお出掛けしたいなって。」
「…俺と?」
「無理にとは言わないし、レンのお仕事落ち着いてからでも大丈夫だよ。」
レンは目をパチパチと。
信じられないと言わんばかりに瞬きを繰り返す。私が誘うのがそんなに変か。
「どこに行くの?」
「イグアート。」
目的地を伝えるとレンはまた目を大きくする。
「…やっぱりずるい。」
そう言って、私はまたレンの腕の中に閉じ込められる。
「ダメ?」
「ダメなわけないよ。寧ろリンはあの場所に一人で行っちゃダメ。」
「そうなの?」
「…今は特にね。色んな病気が流行ってるみたいだから、リンが行くとすぐに感染すると思う。」
え、そうなの?
それはちょっと怖いです。体調不良確定なのは流石に気が臆します。
「行くのマズい…かな?」
「…俺が一緒に行っても安全は保障してあげられないけど、大丈夫だよ。仮に感染しても対処するね。」
「じゃあ行こう!」
「うん。リンと外泊なんて夢みたいだね。」
大袈裟だと言いたいが。
私もまだ自由になって間もないので、その気持ちは分かる気がする。
「私は雨について調べてみたいから、退屈させちゃったらごめんね。」
「リンといて退屈だと思ったことないよ。」
「あ…うん。ありがと。」
「それに今は嬉しすぎてどうにかなりそう。」
そ、それは大変だ。
どうにもならないでください。