(二)この世界ごと愛したい



宣言通り。


本当に頭がおかしくなったのか、十回のキスを本気でやりやがったレン。




「もっ…許して…っ。」


「…うん。」



ふわりと私を持ち上げて今度は椅子に座らせたレン。




「食事にしようか。何か頼んでくるから大人しくしててね。」


「…いらない。」


「食べやすい物にするから。」



こんな心境で、こんな体調で。


食欲なんか湧くわけないじゃん!!!



そんな私の心の叫びは届かず、返事も聞かず、レンは部屋を出て行ってしまう。




「…あー…どうしよ。」



私はこのままどうなるんでしょう。


甘い甘いレンの前で、私は為す術もなく風邪が治るまでこのままなのでしょうか。



…身体の熱は全然冷めそうにない。




こんな状況、はっきり言って困る。



そう。


私は困っている。



それなのに。






…離れたくない、なんて。




私はどうかしてる。熱に侵されすぎてる。





「病は気から…だ。」



気持ちの問題だ。


気をしっかり持て!私!!!




城の女官にでも頂戴したのか、食事を持ってレンが帰ってきた。




「落ち着いた?」


「…誰のせいだと思ってんの。」


「ごめんごめん。林檎好きだったよね?食べられそう?」


「…食べる。」



レンが私の食の好みを把握しているのは、るうが話したのを覚えていたんだろう。


そんな些細なことを良く覚えてるな。




「ところでリンは今どこに住んでるの?」


「パルテノン。」


「一人暮らし…なわけないよね。」


「住み込みで働いてるのー。」



林檎を食べながら質問タイムが始まった。




「え、リン仕事してるの?」


「…顔に失礼が出てるよー。最近始めたばっかりで、まだあんまり役に立ててないけどねー。」


「何の仕事なの?」


「…飲食店。」



嘘ではない。


断じて嘘ではない。



別に情報屋だと明かしてもいいんだけど。説明が面倒なんだよね。




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