(二)この世界ごと愛したい



少し考えれば分かるだろう。


レンは医術師。


戦が嫌いで、血を流す行為そのものが嫌い。




「今なら自分でやったことにしてあげる。だからさっさと退室いただけますか?」


「レン様のことを分かった風に言わないで!あの方はこのセザールの王子よ!小娘一人殴ったところで気に留めないわ!」



…あ、そう。





「あなたはセザールの王子が好きなんですね。」


「はあ?」


「別にここで誰が働こうが興味はなかったけど、そんな考えなら辞職することを勧めます。」


「ふざけないでっ!!!」



レンって不憫だな。


せっかく王宮から離して別の場所に移住しても、こんなのが側に仕えるんじゃ苦労するだろうな。





「レンは確かに王子だけど、中身は王子と真逆なの見れば分かるよね。肩書きが好きなだけの人に、レンの側にいてほしくない。」


「本当に生意気な女ね!?」



今度は胸倉を掴まれる私。


けど、珍しく怒っている雰囲気満載のレンの気配を近くに感じ取っている。




「せっかくその本性が晒されないように逃げるチャンスあげたのに。お可哀想ー。」


「今度は何を…っ!?」



私が何を言い出したのか分からなかったらしい女官も、顔を出したレンを見て血の気の引いた顔になる。




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