(二)この世界ごと愛したい
ニコリと笑うと、反対にカイは困ったように笑う。
そしてすぐに真剣な表情になる。
「さあな?」
どこか悲しげにも見えるカイ。
こうして人を傷付ける可能性があるから、この癖は止めなきゃいけなかったんだと思い出した。
「…私にとって、カイはカイだよ?」
「……あー。ちょいタンマ。」
頭を抱えたカイは私に視線を向けるが。
たぶんその瞳に今、私は映ってはいないんだと感じた。
気付いたけど、これも伝えると困らせてしまう気がしたので押し黙ることにした。
「…カイ、下降りるで。お嬢と先行くわ。」
「…任せた。」
私はおーちゃんに部屋から引っ張り出される。
おーちゃんはきっとカイのことをある程度知っている。だからカイを守った。
「お嬢、カイはそんなに気にしてへんで。」
「そうだね。」
「たぶん気にしてるのはそっちちゃうし。」
「意味深なこと言うの止めてよー。そっちってどっちか分かんない。」
勘繰りたくないのに考えちゃうじゃん。
ハルが私にこの癖を止めさせたいのは、こうなった時に私が自分を責めないように思ってのこと。
…ちゃんと分かってる。
「あ、リンおかえり。」
レンが待つ下の階に戻って来た。
私を見てはふわりと綺麗な笑顔を向ける。
「ただいまー。」
「パルテノンって初めて来たけど、賑やかそうな街だね。」
「時間あるなら少しお出掛けする?」
「うん。」
嬉しそうに笑うレン。
「…自分らほんまに別れてんの?」
「「え?」」
おーちゃんの言葉に、思わずレンと返事が被る。