(二)この世界ごと愛したい
きっと私に話すつもりはなかったんだろう。
それを言わせてしまって申し訳ないと思ったので、私はアキトに持たせていた自分の分の綿飴を取る。
「とりあえず一緒に食べよ?」
「…そうだね。」
「てか俺の分は?」
アキトの分は買ってません。
二本しかないので、私とトキ二人で美味しくいただきます。
「明日の稽古って何人参加するのー?」
「この城にいるのと近所に住んでるのは呼ぶつもりだから、ざっと五千人かな。」
「ご…五千!?」
想定していた人数の倍以上いますけど。
私一人で回すなんて無理ですけど。
「午前中だけで五千…か。」
「アキトとサクは好きに使っていいよ。」
「それは必須だねー。私二千くらいで考えてたから。アキトに二千とサクに千振ろうかなー。」
となると。
必然的に将軍二人は個別で時間外労働だ。
「…ねえ、トキ。」
「何?」
「新しい将軍候補発掘も兼ねてる?」
「ご名答。」
だよねー。
正直、荷が重すぎます。
でも新たな将は不可欠。今回みたいに、常にアキトと共に動けるわけじゃなく国の判断で兵を分散させることも考えて、現場判断が出来る人を増やさなきゃいけない。
セザールの軍事は、こうして成り立たせる他もうどうしようもない。
「アキトにかかる負担は尋常じゃないけど、アキトにしか出来ないことだねー。」
「そういうこと。」
「…やるだけやってみるー。」
「よろしくね。」