(二)この世界ごと愛したい
「一ヶ月後で言えばちょうど魂祭か。」
「何それ?」
「あ…。今のなし。ごめん忘れて。」
「えーなになに!?」
魂祭って、つまりお祭りってこと!?
「死者の魂を送る祭だ。俺と行った街での催し…つまり祭りだな。」
「ちょっとアキト、言わないでよ。」
お祭りなんて絶対楽しい!絶対行きたい!!!
私の目はそれはそれは輝きます。
「うわ、もうキラッキラじゃん。ただでさえ人多いのに魂祭の日なんて冗談じゃない。」
「トキ。」
「無理無理。せめて普通の日にしよ。」
「私お祭り行きたい。」
「それは他の人と行って来て。俺はいい。」
頑なに嫌がるトキ。
ここで私は策を講じる。
策とは言っても、試したことがある相手はハルしかいないので成功率は未知。
「トキ。」
「……ん?」
私はトキの手を握る。
「私のお願い、聞いてほしい…。」
出来る限り目を潤ませて。
出来る限り上目遣い。
そして出来る限り至近距離で。
「っちょ…っと。」
「だめ?」
「分かったから!それやめて!!」
よし。
これしばらく使える手法だな。伝授してくれたるうに感謝だ。
もちろんるうは、こんなことに使うとは考えもしなかっただろうが。
「やったー!これでお祭りの日に海に行けるー!」
「…最悪だ。」
私はテンションが上がる。
そしてそのテンションのまま、気になっていた地図を眺めることにしました。