(二)この世界ごと愛したい
私が地図に夢中になっている間。
…アキトとトキは、頭を抱えていた。
「なんだ今のっ…!?」
「もう奥義だよ。必殺技だよ。あんなの惚れてなくても抗えるわけない。」
「ヤバすぎる技隠してやがったな。俺にじゃなくてよかった。間違いなく襲い倒してた。危ねえ。」
「…あー本当最悪だ。」
私に聞こえないように繰り広げられている二人の話。
私は一先ずこの精巧な地図を、片っ端から頭に叩き込むため集中しています。
「…結婚の話。」
「あー、うん。言っちゃった。ごめん。」
「人一倍正義感強えんだから巻き込むなよ。」
「俺は巻き込むつもりないけど。もしリンがこの話に巻き込まれるなら、それはたぶんリンの宿命だよ。」
トキの頭脳と鋭い読みでは、私がこの件に巻き込まれるだろうと予測している。
それを憂うアキト。
「…もうリンはアイツに会ってるんだったな。」
「つい先日も会ってるはずだよ。連合軍の大将として、リンを攫いに行ってたから。」
「ったく。シオンの奴、余計なことしねえといいんだがなあ。」
運命は、巡り巡って。
私の元に辿り着く。