(二)この世界ごと愛したい
カイと私以外誰もいないこの場所に。
別の声が降り注ぐ。
『…巫女の子よ。』
「……。」
『祈りを捧げよ。』
「……。」
言わんこっちゃない。
やんごとなき感じの声が、たぶんカイにも聞こえてるんだろう。
いよいよ神様に目を付けられてしまう。
「…祈りより、カイが持って来たお供物のお菓子の方がきっとお腹に溜まると思うので。どうかお腹いっぱい食べてくださいー。」
『力を与えよう。』
「間に合ってますー。」
『我の力で守ってやろう。』
何だこの神様。
安売り大バーゲン中か。
「肝心な時に役に立たない当てにもならない力は特に求めてないので。どうか勝手にゆっくりのんびり過ごしてくださいー。」
『巫女の子よ。天は巫女を愛してやまぬ。願いを叶えよう。』
…イライラするな、この神様。
「それはちゃんと愛する人を守ってから言わないと説得力ないですよー。無意味な問答は嫌いなのでもういいですかー。」
巫女のママ。
その目の前でパパを救えずして、何が神だ。
「守りたいものは自分で守るし、願いを叶えてほしいのはあなたじゃないので。」
『…巫女の子よ。災いの子よ。』
「え、急に口悪。」
『力を与えよう。』
「わあ、強行突破ですか。押し売り御免なんですけどー。」
もう力与えたくて仕方ないんじゃん。
他でやれよ。
『祈りを捧げよ。』
「無限ループってことねー。あーはいはい。じゃあ明日天気になりますようにーで良い?」
『…叶えよう。』
「ありがとうございますー。」
『力を与えよう。』
「しつこい。」
何のコントだ、これは。
「ちょっとカイ。これどうやったら終わるの。」
「ぶはっ…!おもろ!お嬢ほんまおもろいわっ!」
「笑い事じゃないんですけどー。」
ケタケタ笑い転げているカイ。
ごめんなさいね、神様。こんな客人で。