(二)この世界ごと愛したい
「…これ神殿、だよね。」
「そうや。」
この建物は、恐らくそうではないかと。
そう思ったのは、私がさっき感じた嫌悪感から。
…神に祈りを捧げる場所。
神殿内部には、神の形を想像して作ったと思われる造形物。そこへ向けて祈りを捧げるんだろう台座。
「…。(胸糞悪い場所だなー。)」
カイがいる手前、声には出さないが。
私はそもそも神とやらが好きではないので。神聖な場所に来ても、こうして嫌悪するしかない。
「よーし。任務完了や。」
「帰ろー。」
お供物を神の像の前に置いたカイに、すぐに帰ろうと伝えたがカイは動こうとはしない。
「お嬢。」
カイが祈りを捧げる台座へ私を手招く。
「お嬢は散々守ってもらったやろ?お礼だけでも伝えたらどうや?」
「……。」
お礼を兼ねた祈りを捧げろと言われる。守ってもらったのだからと。
さて、どうしたものか。
「神様に祈るほど、綺麗な心は持ち合わせてないんだよねー。」
「そうか?ほな鬼人の必勝祈願でもしてみる?」
「…どうしても私をそこに立たせたいってことであってる?」
はっきり問うとカイは小さく笑うだけ。
要は肯定。
カイがどうして私をここに連れて来たのか、何となく分かってしまった。
カイは私のママのことを知ってるらしい。
ママは巫女の一族だったと聞いたことがある。日常的に神に祈りながら生きていたらしい。そうすれば、神から力が与えられるとか何とか。
めちゃくちゃ祈れば神に会えたりもするらしい。
「はー。私信仰心ないんだけどなー。」
「ここでそんなん言うたら終いやん。」
「…カイの頼みじゃなきゃ、絶対今すぐ帰ってるんだからね。」
私はその台座へ渋々足を運んだ。
運んですぐに、その変化は現れることになった。