(二)この世界ごと愛したい
「初めての聖域やし、対話して疲れるんもしゃあないわな。」
倒れ込む私を受け止めたカイが、ふわりと私を抱き抱える。
「…しかし、神さんに向かって見守るだけの天って。お嬢はほんま父親似やな。」
楽しそうに呟いて。
そのまま私を抱えて森を出る。
「お嬢どないしたん!?」
「おー、オウスケ早いな。」
「お嬢どないしたん!?」
「…それしか言われへんのかい。寝てるだけや。大事ない。」
何故かこの場にいるおーちゃんに私が問題ないことを伝えると、分かりやすくホッとするおーちゃん。
「巫女の力試すなんて、カイ悪趣味やで。」
「それにしてもおもろかったわ。神を神とも思わんお嬢にヒヤヒヤしたけど、神さんの方はかなり溺愛やったな。」
どうやら私の事情を私より知っていそうな二人。
それでも私はこの件について、二人を問い質すことはしないだろう。
今回私の目的はカイの護衛。そんなカイが用がある場所に付き添っただけ。
ママが巫女だった話はある種有名な話だし、世間がそのことを知っていても不思議ではない。
「お嬢が変に祈ったらどうするつもりやったん?」
「そん時は責任持って俺が強引に連れて帰るつもりやったし。この賢いお嬢が無闇に祈ることはせーへんって分かっとった。」
神とは、祈りを強要し。
その祈りや願いを言質に、巫女を縛る。
この聖域と言う場に縛り付けて、永遠に祈り続けることを強いる。
「それやのに何で連れて来てん。」
「…これから敢えて険しい道を進もうとしとるから。少しばかり神頼みしてこの子を守る盾を増やしたかったんや。」
「お嬢何する気なん。」
「それは分からんけど。」