(二)この世界ごと愛したい
「ご迷惑おかけしてすみません。」
「別に迷惑ちゃうけど。」
なんて可愛いの。
そしてなんて優しいの。
「お兄さんも良い人だったね。」
「…お嬢にとっては、他国からの流れ者でも自国の人間なんやな。」
「そうだねー。どこから来たのかは関係ないかな。七つもある国の中からわざわざ選んでもらって、善良に生活してくれるなら王族として礼は通したい…と思う。」
「立派すぎて感心するわ。」
王族は忘れてはいけない。
王族だけでは生きていけない、成り立てない。民に生かしてもらっているんだ。
「今日、お嬢がやけに姫っぽくて。知らん人間に見えた。」
「そう?」
「俺はお嬢のこと理解出来てへんかったんやなって思った。」
「人が人を完全に理解する日なんて来ないよ。目に見えるものじゃないし。」
長年一緒に過ごして来たハルやるうのことさえ、時に見失いそうになることもある。
だから人は言葉を紡ぐ。目に見えない想いを言の葉に乗せて届ける手段を取る。
「それでも俺は、知らへん間にお嬢を傷付けるんは嫌や。」
「…うん?」
「つ、つまり…。その…教えてほしいねん。」
何を…???
私のことを?私の何を?
ん?私も自分のこと良く分からないぞ?あれ?何を教えたらいいんだ?
悩む私の耳に、ドアをノックする音が届く。
たぶん食事が届いたんだろう。
「お嬢、隠れとき。」
「…このままでいいよ。」
私がそう言ったので、おーちゃんは不安に思いながらも宿主さんを部屋に通す。
「失礼いたします。お食事を……え?」