(二)この世界ごと愛したい
こうして平和に眠った私。
おーちゃんは私が眠ったのを確認してから部屋に戻り、色々とやるべきことを済ませつつ。私の追手も警戒しつつ。問題ないことを確認してから眠りについた。
そして朝が来ると、すぐにおーちゃんは動き出す。
昨日お世話になったよーちゃんのお店に向かい、兄弟で話をしていた。
「兄貴おる?」
「ん、ハニーおはようさん。」
「お嬢の剣やねんけど、どれくらい掛かるか昨日聞き忘れとった。」
「あー…それやねんけど。あの剣かなり上物でな。思いの外時間掛かる。たぶん三日くらいやな。」
三日と聞いて、おーちゃんは肩を落とす。
「なるべく急ぐわ。カイのとこもほっとかれへんやろうし。」
「堪忍な。」
「昨日のお嬢さんは?」
「お嬢寝起き悪いからまだ起きひん。」
それを聞いてよーちゃんがギョッと目を見開く。
そしておーちゃんの肩を掴む。
「あかんで、ハニー。他の誰でもない鬼人の女に手出したらあの人簡単に戦争始めるで。」
「…手は出してへんけど。」
「あー焦った。鬼人はほんまに恐ろしい人やから。まだ引き返せるなら早めに手切った方がええで。」
「お嬢ここに連れて来た時点で、もう覚悟は決めた。引き返すのも手遅れや。」
覚悟を決めた弟の目を見て、何を言っても無駄かと悟った兄は溜め息を溢す。
「あんだけの美少女なら気持ちは分かるけど、辛い道やで。相手鬼人やし、しかも相思相愛やん。」
「…あれは…ま、否定はせんけど。お嬢言うてたやろ。あの二人は来世に賭けてんねん。今世の椅子はまだ空いとる。」
妹なので結ばれることはないと知っているおーちゃんだが、相思相愛は否定出来なかった。
そこはきっと私も否定出来ないだろう。