(二)この世界ごと愛したい
戻らなかった…元い、戻れなかった。
ここに来てかなり疲れが出て来た上に、合間で自主練してさらに身体を酷使。追加で火龍の力も使い過ぎてカイの拠点でダウン。
情報拡散のタイミングだけは、クロにどうにか運んでもらい今回の戦には凡そ支障はない。
こんなヘロヘロの状態で、私がお店に帰った時はそれはそれはカイにもおーちゃんにも怒られた。無理をするなとまた心配を掛けてしまった。
夜に帰って来て、シャワーを浴びて眠り。
目覚めたのはイヴが来ると言う約束の夕方時刻の一時間前。
「お嬢大丈夫か?」
「んー。」
「コーヒー飲むか?」
「うんー。」
一時間前に迫っているので、コーヒー飲んだらさっさと上に隠れよう。
あ、けど基盤も触っておきたいな。
そこにあるとほぼ無意識に駒に手が伸びる。地図を眺めると自然と考えが戦場に行く。
「ほい。」
「ありがとー。」
意識はほぼここにはないが、ないなりにコーヒーをくれたカイにお礼を伝えて。
またすぐに戦場に引き戻される思考。
「…これは大丈夫なんか?」
「どう見たって大丈夫ちゃうやろ!?こんなこと続けさすつもりなん!?」
「つもりも何もお嬢の頭ん中、今もうどこ走ってるかも分からんし。」
「お嬢死なへん!?」
これくらいでは死にませんよ。
セザールにいた頃、婚儀と並行した時に比べれば戦に全集中出来る今の方がマシだ。
「体調崩し出したら流石に王子に連絡せなあかんな。」
「医者…せやな。医者呼ぼ。」
「崩し出したらな?」
私の邪魔にならないようにと。
カイがおーちゃんを宥めてくれて、その間私は思う存分基盤に向き合うことが出来た。有り難い気遣いです。
「…来たね。」
禍々しさを感じるこの気配。
こんな気配は、私の知り合いにはイヴしかいない。
イヴの気配が近付くので、私は荷物を抱えて階段を登る。
「ほなお嬢、何かあったら合図するし。適当によろしゅうな。」
「はーい。」
カイに軽く返事をして、部屋で再び基盤と駒と戯れる時間を過ごす。
会話は聞く気はないので、殺気を感じたら下に降りようと思っています。時間が惜しいので。