(二)この世界ごと愛したい
朝が来てすぐに、二日酔いに苦しむ二人を置いて。
カイの酒場に戻りハルが国境を越えていないかどうかの確認をする。
「まだ連絡ないで。」
そんなカイの言葉に肩を落として。
もう私から行ってしまおうか本気で考えたが、冷静になれば入れ違う可能性も大いにあるわけで。
…私の馬鹿。落ち着け。
「そ、か。ありがと。」
「…天帝と弟軍師はどうしたん?」
「あれからまた飲み直したから、二日酔いでダウンしてるの。」
私を酔わせて、ハルを忘れさせて元気付けようと二人なりに気を使ったものの。全く酔わない私に付き合いきれなくなり限界を迎えたことを私は知る術なく。
ただ、今か今かと待つだけ。
「か、カイさん。」
「おーやっと来たか!鬼人やっと帰ったか!?」
「あ…それが……。」
待ちに待った伝者さんが来たのに。
どうやら求めていた情報は入っていないらしい。
「鬼人がアレンデールの方角へは向かっておらず…。それどころか、別の方向に滅茶苦茶なスピードで…前進して…見失ったそう、です。」
この伝者さん、この場にいるカイとおーちゃん。
皆さんが思わず私を恐る恐る見てしまう程。
…私の機嫌は最高に悪い。
「…カイ、もう追わなくていいから。教えてくれてありがとう。」
「え…あ。はい。」
「じゃあ私上で戦のこと考えてくるー。アキト達起きるとまた出来なくなるし。」
「わ、分かった。」
こうして部屋に戻り、基盤の前に座りはしたものの。
もうね、イライラが止まらないです。