(二)この世界ごと愛したい



なんっなの一体!!!



私がお城の外にいるから!?


ハルが止めてくれたのに振り切って出てったから!?


これは私への当て付けなの!?



外にいる私が心配していることくらい手に取るように分かるはずのハルが!?


敢えてこんなことするのは何なの!?




「…ムカつく。」



ムカつき過ぎて、基盤どころではない。


戦どころではない。



やっと会えると思ったのに、上げて落とされた私の心境はかなり荒々しい。





「やっと、会えるって…。」



思わせられた私は、また崩れ落ちる。


ハルの馬鹿。馬鹿馬鹿馬鹿。



外の世界で待つのは、本当に苦しい。


そう思って、また気付いた。





…ああ、あの檻は。


こんな苦しみから、私を守るための檻でもあったんじゃなかろうかと。






荒ぶる私がいなくなった下のお店では、震えながら青ざめる伝者さん。




「お、お嬢ちゃん怒らせた…!?」


「大丈夫や。お前が悪いんとちゃうって分かってるわ、あの子賢いから。」


「鬼人追うか!?捜索隊出すか!?」


「…いや、もう止めとこ。また一喜一憂してお嬢が疲れてまう。」




カイは、ハルに向けて放っていた伝者たちを全員解散させる。


これでもう、ハルの情報は入って来ない。





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