(二)この世界ごと愛したい




トキがシオンの弟だと知って、ハルはトキに改めて目を少し向けるどころか、じーっと見つめている。




「…名前、トキって言ったか。」


「え?そうだけど?」


「…お前うちに来るか?」



何とここでハルがトキを勧誘。




「…いや、行かないけど。」


「一緒にシオンを討ち倒すぞ。」


「そんなの聞いたら余計行けないけど。」



やはりハルとアキトの感覚は近いものがあるのか、二人してトキを所望する。


私も同じくトキの力はとても魅力的に思っている。




「トキのこと困らせないでー。」


「…やたら庇うじゃねえか。」


「だって私トキ好きだもん。」


「あ?」



ハルの眉がピクリと動く。




「リン、お前俺の話ちゃんと聞いてたか。」


「なんだっけー。」


「俺以外の男はゴミだって言っただろ。」


「そんな酷いこと言わないでよー。」



ハルは口が悪すぎるんだ。


誰に似てしまったんだ。




「全部捨てて来いって言っただろ。」


「…捨てられないって言ったら、ハルは私を嫌いになる?」


「ああ!?なるわけねえだろ!?」


「よかったー。」



せっかく仲良くなれた皆さんを切り捨てるなんて、私には出来ないです。




「聞き捨てならねえ。お前は俺を何だと思ってんだよ。」


「もう分かったって。」


「俺がリンを嫌いになる時は来ねえ。人生何周したってそんな日は来ねえ。」


「…私は嫌いになりかけたけど。」




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