(二)この世界ごと愛したい



「お前が好かれるのは目に見えて分かってた。身をもって経験してるし今更驚かねえよ。」


「は…、い。」


「俺が聞いてんのはお前の気持ちの方だ。」


「…うん?」



私の気持ち?


あ、そっちか?私が誰かに恋をしたかどうかってことか?




「わかんない?」


「……。」


「ハルとるうより好きな人はいないよ?」


「…あ、そう。」



意外とあっさり私から離れたるうは、そのまま壁に向かって歩き出す。


そして徐に壁に頭をゴンッとぶつける。



…情緒どうした。





「危ねえ。」


「…頭大丈夫って、私の台詞になっちゃったけど。」


「問題ねえ。精神統一方法の一種だ。」



他に方法探せよ。


統一のさせ方が怖いよ。





「じゃあそのまま壁向いてて。いつでも統一出来るようにしてて。」



るうにいつだって甘えてしまって、私はその想いにきちんと向き合っていなかったから。


外で学んだ今の気持ちだけでも、伝えておきたい。





「…想いを返さないことは、悪いことだと思ってたの。だけど、傷付けたくないって私の考えは自分勝手なことだなって分かった。」


「……。」


「その人の気持ちから目を背けて逃げるのは、その想いさえ否定してしまうことだなって思ったの。」



人が人を想う、尊いはずのその想いを。


私が奪っておきながら、それを蔑ろにしてしまうことなんだと気付いた。




「だから、もう逃げないよ。」



例え応えられないことでも、傷付ける結果になったとしても。


そのかけがえのない想いから、私だけは目を逸らしてはいけないのだと学んだ。




「もう何年も時間が経って、散々傷付けてから言うのもすごく申し訳ないし恐れ多いんですけど。」



それでも、私はるうにまだ伝えていない言葉がある。











「好きになってくれて、ありがと。」




その気持ちに、ただただ深い感謝を。





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