(二)この世界ごと愛したい



ダンス経験は皆無。


出来る自信もないが、女としての教養を学ぶ数少ない機会だ。無駄には出来ない。




「ダンス…って、何からやるの?」


「…まずはお相手探し?」


「相手?」


「素敵な男性と夢のような時間を過ごすの。」



素敵な男性?夢のような時間?


ダンスって基本そう言うもんなのか?




「だっ、ダメだ!!!」


「え?」


「やっぱりダメだ!!!リンにダンスはまだ早い!!!」


「…まだって…いつならいいの。」



ハルが掌を返し、突然の断固拒否。




「社交的なダンスより、リンはそれこそ舞とかの方が良いんじゃねえか?」


「でかしたルイ!そうだ!舞にしろ!」



…舞の文化この国にないじゃん。


この二人、茶々入れるならもうどっか行ってくれないかな。




「舞なら、今度この王都に有名な踊り子さんが来てくれるってお話を聞いたわ。」


「…百聞は一見にしかず。私それ見に行って来る。」


「ええ。楽しんで来てね。」



よーし。女を磨くぞー。


ちゃんと女の子らしくなって、ユイ姫さんに劣るところがないようにするぞー。




「その踊り子来るの祭りの日だぞ。余興で呼んだ。」


「一石二鳥!時間ないし助かるー!」


「時間ねえって、お前いつ戻るんだ?」


「はっきりは決めてないけど、戦前だから割と早めに戻って準備はしたいかなー。」



るうが私の言葉を聞いて不思議そうにする。




「戦って、お前出んのか?」


「ううん。今回はパルテノンにお城をプレゼントするだけ。」


「プレゼント?」


「落とさせてあげるの。」


「意味が分からん。」


「歩くだけでお城が落ちる。すごく楽で簡単な戦のアシストするの。」



さらに不思議そうなるう。


それはハルもママも同様で、何を考えているんだと思われていることだろう。





「この国に障るような城じゃないし大丈夫だよ。広義でこれは前哨戦。本番はこの国で、歴史的勝利を掴みたいと思ってるから。」



その歴史的勝利を手にするのは。





「それまでに、るうはしっかり将軍の椅子に座っといてね。将軍としての初陣で、この世界でるうの名前を知らない人がいなくなるくらいまでのことは企んでるから。」




我が相棒である、るうへ。


将軍としての勝利の味を教えてあげようと思う。





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