(二)この世界ごと愛したい




…全く、愛しい二人だ。



そんなことを思わされながら、お風呂の準備を待つ間にカイに帰る日を伝えるために伝書を飛ばして。


シオンにもソルの第一将討ち損じを報告しようと思ったが、どうもエゼルタの空気が重いのが変わらないので思い止まる。




「会った時でいっか。」



どうせカイのお店に来るんだろうし。


それにエゼルタの人に私とシオンの繋がりをあまり気取られたくない。今後の作戦に支障が出る可能性があるから。


隠し通せるところまでは隠したい。





「リン、風呂。俺も行ってくるから、ゆっくり入って大人しく待ってろ。」


「はーい。」



待ってろって。


どうせ私が一人にならないように、二人が先に戻って来るのはいつものことだろう。



そんなことを考えて緩む顔ですが、お風呂でリラックスタイムを過ごし。また二人と過ごせる幸せを噛み締めていた。







「…リンまだ風呂か?」



高速でお風呂を済ませ、私の部屋で先に待機していたハル。


そんなハルに声を掛けたのは、同じく少し出遅れてお風呂を済ませたるう。




「ああ。」


「のんびりしてんな。」


「リンの日常は派手だからな。たまにはゆっくりしてて良いじゃねえか。」


「だな。」



さっきまで喧嘩勃発の雰囲気だったが、今はもう和やかなムードの二人。




「祭り、楽しそうで良かった。」


「ああ。」


「舞はどうだった?リンやる気になってたか?」


「難しいけど無理ではねえって言ってた。」


「事の発端の姫さんに感謝しねえと。どうせエゼルタの碌でなし姫だろうがな。」


「やっぱそうか。リンはまた何考えてんだか。」



それはそれは筒抜けだ。


ハルは意外としっかり他国のことを把握していて、しっかり国を治めている。




「…シオン絡みな気がする。」


「あー。シオン将軍にリンは昔から憧れてたもんな。」


「は?」


「何でハルが知らねえんだよ。シオン将軍の戦の報告書届く度にキラキラした目で嬉しそうに読んでたぞ。」


「…あんの性悪狼。どこまでもリンを付け狙う気だな。」




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