「逢いたい」でいっぱいになったなら~私の片想いが終わるとき
  *

「・・・まいったな・・・」

これを人は『途方に暮れる』と言うんだろうな……なんて考えながら呟いた。

食事中に話した感じだとこのあたりだと思うだが……。
どうすんだよ…。家、知らないぞ?

美琴を背負ってどうにかアパートの近くまで来たが、美琴は全く起きてくれない。

「美琴、起きて、美琴」

と揺すっても「はい!はい!はい!」
というはきはきとした返事しかしないし、目を開こうともしない。

「美琴、家どれ?」
「はい」
「はいじゃねえよ。どれなんだよ、家?」

明石さんに連絡しようかと思ったが、久しぶりと言っていたらしいデートを邪魔するのは気が引ける。

「はあ。仕方ないなぁ」
本格的に目を閉じている美琴を自分のマンションに連れて帰った。



鍵を開け、玄関に持っていた美琴の靴を投げ落とす。
リビングに入るとドサリとソファに横たえた。

美琴が裸足で歩いていたのを思い出し、お湯で濡らしたタオルで足の裏を拭いてやろうと、隣に座る。

「足、触るよ?」
「・・・」

完全に眠ってしまったのか、返事もしなくなってしまった。
ストッキングを履いているので脱がして拭こうかとも思ったが、さすがに酔いつぶれて眠っている女性のスカートに手を入れるのは憚られる。

「取り引き先だしな」

ストッキングの上から足を拭き、怪我をしていないか確認し、
「よし」
と美琴の足を降ろして、立ち上がった。

足を上げていたせいで、美琴のフレアスカートが際どい所まで上がっていた。
酔って緩んでしまっている己の理性に発破をかけ、片手でスカートを直して、毛布を掛ける。

「俺、紳士だわあ~」

髪をバサバサとかきあげてバスルームに行った。

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