「逢いたい」でいっぱいになったなら~私の片想いが終わるとき
  *

シャワーから出るとたたまれた洋服が置いてあった。
Tシャツにパーカーとひざ丈のジャージ。
一番上にはまだ開封していない新品のボクサーパンツがあった。
脱いだパンツの代わりにこれを履けということなのだろう。
だぼっとした黒のパーカーだからブラは付けなくてもいいかな。
ずれ落ちてしまうので、ジャージの紐を固く結ぶ。
一緒に置かれた紙袋に私が着ていた服が入っていた。

鏡の前で濡れた髪を乾かす。
さっきシャワーを浴びながら、自分の体を観察して、しっかりと体を洗った。

キスマーク的な跡もついていなかった。
でも付けられてないだけかもしれないし。
でも、服着てたし。
でも、コウさんが上半身裸だったってことは着てた服をそのまま私に着せたってことでそれって…いやいやいやいや。さすがに何かあったら気が付くだろうし。

…でも、私一回寝たら起きないし。

「『でも』だらけだなあ」
とつぶやいた。

頭の中はぐるぐるしてしまっているとはいえ、随分とご迷惑をかけてしまったに違いない。

「申し訳ないなあ・・・」
ざっくりと髪を乾かして、脱衣所のドアをスライドさせた。 

出るとそこはダイニングになっていて、コウさんがキッチンに立っていた。

「コウさん?」
お伺いを立てるように呼ぶ。

コウさんはフライパンの中の卵をくるっと返すところだった。
「っと。おはよ」
コウさんの優しい目が合ってドキッとする。

「おはよう…ございます」
コウさんはお皿に卵を移し、
「昨日のこと、覚えてる?」
と聞いてきた。

「・・・すみません。あまり覚えてないです」
「そうかなーって思った。
まあ、とりあえず朝ご飯を食べよ?昨日のこと聞きたいでしょ?」

「う・・・。はい」
「はははっ。めちゃくちゃ神妙な顔してんなぁ」

< 19 / 109 >

この作品をシェア

pagetop