「逢いたい」でいっぱいになったなら~私の片想いが終わるとき
   *

「いきなり泣いちゃってごめんなさい。驚いたよね」

コウさんから目を逸らして謝った。何となく、目を合わせ難い。


「大丈夫だよ、気にすんな。
それより、落ち着いた?」
「うん。あれだけ泣いたら」

「喉、乾いたんじゃない?コンビニ寄る?」
「うーん。この顔じゃ恥ずかしくて入れないよ」

「泣き顔もかわいいよ?」
「うわっ!」
「何、うわって?」
とくすくす笑う。

「イケメンのたらし発言」
「ジュース奢ってやろうと思ってたけど、やめた」

「えー!ごめん!飲みたい!」
「どうしよっかなー」

泣いてしまった気まずさに、このふざけた掛け合いに少しホッとする。

「イケメンのコウさん!
炭酸のオレンジジュースが飲みたいのですが、明るいコンビニに入るのが恥ずかしいので買ってきてください!」
「うむ。
イケメンだから買ってあげよう」

「ありがと!イケメン!ナイスイケメン!」

「なんだ、ナイスイケメンって」
と笑ったコウさんは、
「でも、かわいい子が外にいるのは危ないので、本のとこで下向いて待っていてください」
と、入り口近くの雑誌売り場に手を引いて連れていった。


少しして、
「お待たせ」
と大量の購入品を買い物袋に入れて近づいてきた。

「何、買ったの?すごい量」

袋を持ち上げて中を見せてくれる。中はジュースだけじゃなく、お惣菜やお菓子、お酒などいろいろ買っていた。

袋の中を見た時、コウさんのTシャツが目に入った。

ボートネックのTシャツがぐちゃぐちゃに汚れていた。

私の涙と鼻水だ!!!

「こ。コウさん。服が、どろどろ・・・」
「あ、ああ。もう家だし。大丈夫だよ」

「いやいや。大丈夫じゃないですよ。クリーニングに!クリーニング代を!」
「ふふっ」

コウさんが笑った。
そして、頭をポンポンと撫でると、
「クリーニング代の代わりにもう一杯付き合ってよ」
「?」

「もう少し飲みたい」
買い物袋を少し持ち上げた。


つまり・・・

「家のみ・・・ってこと?」

「うん」
「一応私も女子の端くれでして・・・さすがに夜分に男性のおたくというのは・・・」
しどろもどろになってしまう。

「昨日の今日でそれを言うか?」
「えー。確かに・・・むしろすみません」
と頭を下げる。

「まあ、俺も男だし。今、美琴は弱ってるっぽいからチャンスだけどさ」
「チャンスって・・・」

「美琴のこと大切だから、同意なしでいろいろはしません」
「いろいろ?」

「そう。いろいろ」
「・・・」

「美琴?」
「・・・いろいろ・・・してほしいって言ったら?」

「そりゃ、抱きつぶすさ」


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