「逢いたい」でいっぱいになったなら~私の片想いが終わるとき
手を繋ぎ、店から出る。

手を繋いだまま、ゆっくりと並んで歩いた。



私達はゆっくり歩いた。


火照っている頭や頬に冷たい夜風が当たって、ほんの少しだけ落ち着いた。
大丈夫、涙も出てない。

「寒くない?」
コウさんが尋ねた。

「うん。大丈夫。もう、夜になっちゃったね」
そう言って夜空を見上げた。


どんなに上を向いていても。
どんなに深呼吸をしても。
胸の苦しさは、疼きは治まってくれない。
でも夜だから。
周りは暗いから。
きっと表情までは見えないはず。
きっと再び滲んできた涙も見えないはず。



「風、気持ちいいな・・・」
とコウさんがつぶやいた。

コウさんを見ると、私と同じように夜空を見上げて歩いていた。
えええええっ!!??

「こ、コウさん。二人で上見て歩いてたら危ないから!」
と慌ててしまった。
「本当だ」
そう言って笑ったコウさんが私を見た。

目が合って、コウさんの顔から笑みが消えた。

え?なに?

「コウさ…」

繋いだ手を引き寄せ、抱きしめられた。

「大丈夫?」
と耳元で尋ねられる。

「…うん」
小さく頷いた。

私の体は背の高いコウさんの腕の中にすっぽりと包まれている。

暖かい・・・・。
温かいコウさんの腕の中-----


分かってたけど。
知ってたけど。
失恋・・・ずっと失恋してたけど・・・今度ばかりはホントに本当の失恋・・・。

健が好き・・・。


ーーーーー私は健を想った。

止まっていたはずの涙が溢れ出す。



「…苦しいよぉ…ふえ…くっ…う…ううううううー」


コウさんは何も言わずにずっと抱きしめてくれた。

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