「逢いたい」でいっぱいになったなら~私の片想いが終わるとき
  *

一緒に食器を洗った。
「あとはかたずけておくから、美琴はお風呂に入っておいで」
「え。あ。うん」

あまりに自然にお風呂に誘導される。
これはやっぱり、お付き合いが始まったってことは……そういうことなのだろうか?

コウさんは食器を拭きながら、
「一緒に入る?」
と聞くから、
「ち、違うよ!お風呂いただきます!」
と慌てて脱衣所へ向かった。

「お湯張ってるから、ゆっくり入っておいで」
と声を掛けられた。振り返って、「うん」と頷いた。

言われるがままお湯に浸かってしまう。

かこーーーーーん。
なんて音がすることはなく、パチャパチャという水音だけが響く。


健からの電話がなければ、あのまま最後までしてたかもしれない。

そして、付き合うことになった今、というかこれから。
これからどうなるんだろう。

   *

お風呂から上がったら一緒に並んで歯磨きをする。

この後どうなるんだろう。
そう思うと、私の心臓はドキドキ、バクバクと大きな音を立てていた。
自分でも緊張しているのが分かる。
コウさんは緊張しないのかしら?

鏡越しにコウさんを見る。
目が合って、優しく見つめ返される。

お尻でトンって押されて、フラッとする。
お返しとお尻で押し返す。

コウさんが歯磨きをしながら笑ってしまって慌てて洗面台に顔を突き出すから、それを見た私も吹き出しそうになって慌てた。


  *

「俺も風呂に入って来るから、美琴は先にベッドで寝てて」
「え」
「明日も仕事だし、今日はもう疲れたでしょ?」

それは何もしないってこと?
鏡越しに見つめ合う。

不意に肩を引かれ、抱き寄せられる。
「そんな目で見ると、キスしちゃうぞ」
ピクッと身体が反応した。

チュッ。
額にキスされた。

そしてギュッと抱き締められて、私も抱き締め返した。


「落っこちないよーにしっかり捕まっててね」
そう一言いうと、あっという間に、
「えいっ」
「!?」
お姫様抱っこをされる。

「わ。お、重いよ?」
「全然、軽いよ。はい、消して」
「え、あ、はい」
言われるがまま洗面台の電気を消す。

「はい、開けて」 
「はい」
洗面所のドアを開閉する。

「もう一回開けて」
「はい」
寝室のドアを開けて、閉めた。

ベッドにゴロンと転がされる。

仰向けの私。
顔の両横に、コウさんは手を付いた。

じっと見つめる。見つめられる。

「風呂入って来るね。もし眠かったら寝てて」
キスを一つして、
「起きてたら、もう寝かせてあげられないからね」
もう一度、ゆっくりとキスをした。



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