「逢いたい」でいっぱいになったなら~私の片想いが終わるとき
「連れてきていただいて、ありがとうございました」
と深々とお辞儀をし、お礼を言った。

「それじゃ。また、ゲームで」
とほほ笑まれ、
「はい。お互い頑張りましょうね」
というと同時に、横から腕を引っ張られた。

「美琴!」

引っ張ったのは健だった。

「帰ってこないから心配した!」
温厚な健がイラっとした表情を見せていて焦る。
「ごめんなさい。ちょっとわからなくなっちゃって」
「スマホは?」

「連絡しようにも、今どこにいるのかすら分からなくて、連絡しようがなかったの・・・たまたまこちらの方に聞いたら、連れてきてくださって。
フットサルに来られたんだって」
健は私の横に立ったままの、案内してくれた彼にイラっとした目を向けた。

健はこちらを見ている男性の顔を見ると同時に、
「え!?」
っと健は驚いた。
男性は
「えっとー。こんにちは」
と複雑な微笑みで挨拶をした。

「磯ヶ谷さん!
え?美琴が連れてきてもらったのって磯ヶ谷さん?」
健は磯ヶ谷と呼ばれた男性と私を目を大きくして交互に見た。

「磯ヶ谷さん?」
と男性に問いかける。
その人は、
「はい。磯ヶ谷です」
と返事をする。

「もしかして対戦相手ではなくチームメイトみたいですね」
「そうみたいですね」
と笑いあった。

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