「逢いたい」でいっぱいになったなら~私の片想いが終わるとき
買い物して帰った私たちは、コウさんの家で広島風のお好み焼きを焼いて食べた。
コウさんのお父さんが広島の人でお好み焼きは家で作っていたという。
私も焼き方を教えてもらった。
どう見ても崩れそうなキャベツの山を勢いよくひっくり返す。
「えいっ」
ジュ――。
上手にひっくり返すことができ、豚バラ肉がいい音をたてた。
「できた!」
「うまいうまい!次、はみ出たキャベツを中に入れて」
「あ、うん!」
初めて食べた広島風お好み焼きはとても美味しかった。


お風呂に入った後、お揃いのパジャマを着る。
買ったばかりのパジャマはもこもこでふわふわして気持ちいい。
コウさんは濃紺、私は薄いピンク。
ああ、お揃いが嬉しい理由ってこういうことなのかと納得した。


テーブルにワインとおつまみを用意して、部屋の電気を消す。
ソファの上でコウさんと二人、くっついて映画を観る。
内容は恐いと有名なホラー映画。
怖いシーンでコウさんの腕に顔を隠したり、「うわッ!」と叫びながらもしっかりと最後まで見た。

「恐がりのくせに映画好きだよね」
「うん。一人じゃ見れないけど、見たいのよ」
電気をつけて、二人でテーブルの上のグラスやおつまみを片付ける。

「お風呂入っててよかったね」
「どうして?」
コウさんがキッチンにグラスを持って行くので、私はお皿を持ってキッチンに行った。

「髪を洗う時に目を閉じるの恐くない?」
「ああ、目を開けると誰かいる?みたいな感じ?」
「そうそう」
台拭き用の布巾を持ってテーブルに戻る。
コウさんが拭いている間に、私はテーブルの上の空き瓶を手に持って隣に立つ。

「怖いなら一緒にお風呂に入ればいいよ」
「え!?そんな恥ずかしいこと無理!」
「ははは、何を今更」

コウさんは立って私の持つ空き瓶を取り上げた。
布巾と瓶を持ってキッチンに戻る。
私はコウさんの後をついて行って、一緒に流しで手を洗う。
コウさんにタオルを受け取った私は手を拭いた。

「お風呂とか一緒に入りたかったりするの?」
「そりゃ入りたいよ…美琴」
「ん?」
私を見おろすコウさんと目が合った。

「今、恐いんだろう?」
「え?」
「ずっと俺に付いてきてる」
コウさんと離れるのが恐くてずっと近くを歩いていたのがバレてしまっていた。

「今日の映画はちょっと…怖すぎたよね」
「あっははははは。かわいいなあ」
とぎゅっと抱きしめられた。
買ったばかりのパジャマはもこもこのふわふわで気持ちいい。

「ふかふかで気持ちいいな」
「うん。気持ちいい」
コウさんの胸に頬を摺り寄せる。

「好き」
と言うと、コウさんがキスをした。
優しいキスはだんだん深くなっていく。

大好き、コウさん…。



ゆっくりと二人きりで過ごす週末。
私は自分がコウさんの沼にハマってしまっていると感じた。
こんな幸せな沼があるなんて、知らなかった。


つづく
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