「逢いたい」でいっぱいになったなら~私の片想いが終わるとき
最初はかわいい子だなってくらいだったんだ。

それが、猫みたいに俺の懐にスリっと入り込んで印をつけていった。

一緒にいると可愛くて、楽しくて…どんどん好きになって行った。


もともと、明石さんと美琴が付き合ってると思ってたんだ。
二人の距離感とか、明石さんの仕草は『俺の物』感を出していた。
明石さんに彼女がいると聞いた俺は、分かった上での関係なのかとも疑った。
でも実際はそういう関係ではないと知って、めちゃくちゃ嬉しかった。

それに、好きな男のことを思ってぼろぼろと泣く美琴を慰めたかったし、俺が忘れさせてやりたいと思った。
俺の横で笑っていて欲しいと思った。た

いつか言った台詞を思い出す。

「お互いに両想いになって、告白して、付き合うのは一番理想だと思うよ。
でもさ、いいかもーとか、好きになるかもーって付き合いだして、そこからだんだん好きになってくっていう、恋愛だってあると思う。
美琴と知り合ってからまだ日が浅いけどさ、俺、美琴が好きだよ。
俺のこと嫌いじゃないならさ、付き合ってみないか?
まずは俺の彼女になって、ゆっくり両想いにならないか?」

明石さんが好きなのが美琴なら、一番理想的なのは二人が付き合うことなんじゃないのか?
美琴へ言った自分の言葉が胸をえぐる。



展示会の時、明石さんは美琴を頼むと俺に頭を下げた。

違和感はあったんだ。

違和感はあったけれど‥‥見ない振りをしたんだ。
美琴を手放したくなかったから。
卑怯だと思ったけど、それよりも美琴が好きだったから。

だけど、本当は・・・・・
明石さんが美琴を好きなら、俺が二人の間に入る余地なんて・・・本当はなかったんだ。
だけど・・・・。



「美琴・・・・」



壁に縋ったまま、出て行ったドアを見つめた。
< 89 / 109 >

この作品をシェア

pagetop