「逢いたい」でいっぱいになったなら~私の片想いが終わるとき
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そして、会社に着いた私は、
「織部さん、ちょっとこちらへ!!」
と山口さんに腕を引っ張られた。
鞄を降ろす間も待ってもらえず、連行されたのだった。

「え?え?なんで?どうしたの?」
と言っている間に山口さんにお手洗いにつれていかれ、鏡の前に立たされた。

織部さん、何やってるんですか!?めちゃくちゃひどい顔ですよ!」

鏡に映るマスク&伊達メガネの私。

「山口さん、ひどい顔だと思うでしょう?」
「はい」
「これ取るともっとひどいんだよ」
眼鏡とマスクを外して見せた。

「うっ」
今、うって言ったね。
自分でもわかってはいたけれど悲しくなってしまう。

「とりあえず、この厚塗りメイクを落としましょう」
「え?でも…」
「こんなに厚塗りしてたらむしろ目立ちます」
「…すみません」
「メイクポーチありますか?」
「うん」

メイクを落とした後は近くの会議室に連れて行かれた。

椅子に座ってマッサージをされ、メイクをされる。
山口さんにされるがまま、私はじっとしていた。

「織部さん、どうしたんですかぁ?」
丁寧にアイシャドーを塗られていく。
私は目を閉じたまま、
「……どうしたんだろう…ね」
と返事をした。

「はい、目、開けてもいいですよ」
「うん」
ゆっくりと目を開けた。

「よし、これでほとんど目立ちませんよ。
あと、チークとシャドーとリップも塗るんでもう少し待ってください」
「うん」

「織部さん」
「ん?」
頬に触れるチークブラシが柔らかくて気持ちいい。
「言いたくないなら追及はしませんけど、何があったのか聞いてほしいなら聞きますよ
話すだけでも楽になることってありますし」
「ふふッ。ありがとう。心配かけてごめんね」
と微笑んだ。

「それは全然大丈夫ですけど…もう!そんなに苦しそうな顔して、無理して笑わないでください!」
そう言って山口さんは私を抱きしめた。

「でも、彼と喧嘩しちゃっただけなの。心配かけてごめんね」
「仲直り、できない感じなんですか?」
「仲直りというか‥‥どうしたら好きって伝わるんだろうね?」
「それは‥‥素直になって、好きと言うしかないのでは?」
「うん。そうだよね。私もそれしか思い浮かばないんだよね。

重くなった空気を、パンっと手を打って払った。

「こんな理由で泣いててごめんね。
でも、ありがとう!助かったわ!」
「このくらい、いつでも任せてください!」

そう言って二人で急いでデスクに戻った。
ギリギリ始業に間に合ってホッとする。

誰かの視線に気が付いてそちらを見た。

私を見ている健と目が合った。

逸らさずに見つめ続ける健の視線を、私は逸らした。


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