苦くも柔い恋


「本当にどうしちゃったの、千晃。らしくないことばっかり」

「悪いかよ」

「いやだって…」

「和奏に好きになって欲しくて必死なんだよ」


分かれよ、と千晃は顔を逸らし風呂上がりで髪がなだらかになった後頭部しか見えなくなった。

けれどその隙間から少しだけ見える耳が赤くなっている事を、和奏は見逃さなかった。


「…ずっと決めてたんだよ。和奏見つけたら思ったこと全部言うって」

「……」

「あの日から後悔ばっかだった。だから今度こそお前と居られんなら、プライドなんてもうどうだっていい」

「千晃…」


布団をぎゅっと握り、千晃の背中を見つめる。

あまりに心臓が煩く波打っていて、千晃にまで聞こえて音が聞こえてしまうのではと思うほどだった。


「あの…千晃って、さ…」


どうしてそれを聞こうと思ったかわからない。
けれどなぜかひどく気になってしまった。


「いつから私のこと好きなの?」


千晃は黙り込んだまま答えない。

答えたくないならそれはそれで良いと思った。

ただあれほど素っ気なかった彼が突然態度を変えたことが不思議でたまらなくて、そこに理由がある気がしただけだ。

聞いたところで何かが変わるとも思えなかったし、まあ普通に答えにくい質問だからどちらでも良かった。

長い沈黙が流れ、ああこれは言わないやつだなと再び布団をかぶろうとした時だった。


「…小5」

「へっ?」



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