苦くも柔い恋
突然返事が返ってきて素っ頓狂な声を上げてしまった。
「小5って…小学生?」
「……」
「そ、そんなに前から…?」
治りかけていた鼓動が再び音を上げた。
千晃の言葉が信じられず、ただ見つめるしか出来なかった。
「えと、なんで私…?」
「どういう意味だよ」
「だって私、千晃とそんなに仲が良かったわけじゃないじゃない。容姿だって別に…可愛い子なんて他に沢山いたし、何より…美琴だって、いたし」
言いながら卑屈になっていく気持ちが止められなかった。
美琴の名前を出す度に痛む胸は、もうきっと一生なくなることは無いのだろう。
無意識に胸を押さえながら視線を落とせば、千晃が振り返るのが目の端に写った。
「和奏…」
千晃は一瞬ためらいを見せたが、そのまま胸に当てていた和奏の手を取り両手で包み込んだ。
「っ、」
咄嗟に引こうとした手は、千晃に向けられた真っ直ぐな視線で動かなくなってしまった。