苦くも柔い恋



「一回休憩するぞ」


大丈夫と言うのに信じてくれず、千晃は少し走らせて見えてきたサービスエリアに入った。

そこで初めて和奏の顔色を見て平気と言うのが嘘でなかった事が分かったようで、「良かった」と呟いた。


「気を遣わせてごめんね」

「いや、何ともないならそれでいい」


せっかく停まったのでトイレ休憩だけしてまたすぐに車に戻り、シートベルトを装着していると視線を感じた。


「なに?」

「和奏、唇なんか荒れてたか?」


ぎくりとしている間に千晃の手が唇に触れた。


「今朝キスした時は別にそうは…」


そこまで言ったところで千晃の言葉が止まり、何かに気付いたように口角を上げた。


「ああ、そういうこと」

「……。い、言ったら怒るよ」

「何を?」

「〜っ!」


むかつく。
好きだとかどこにも行くなとか、弱々しい言葉を散々吐いておきながらこんな楽しそうな顔をして。


——そんな、見るからに嬉しいですみたいな顔、しないでよ


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