苦くも柔い恋
またやってしまった。
つい、受け入れてしまった。
再会してすぐの時のような、無理矢理じゃないキスだったのに。
「……」
千晃はどう思っただろう、案外押せばチョロいとでも思っただろうか。
今も特別態度に変わった様子は無いし、千晃にとっては触れるだけのキスなんてその程度の認識なのかもしれない。
そう思うとまた痛む胸が、嫌でたまらなくなった。
「和奏、気分悪いのか?」
不意に顔を上げると、千晃は前を向いたまま手を伸ばしてきた。
「酔ったのか」
「え?」
「さっきから口元に手を当ててるだろ、次のサービスエリアまで耐えれるか?酔い止めは?」
「ち、ちが、酔ってないよ!」
「無理すんな、お前乗り物酔いしやすかったろ」
「本当に大丈夫だから!」
声を上げながら腕に触れる千晃の手を握る。
「酔い止めは飲んできたから本当に平気。その…ちょっと唇が荒れて気になって」
「本当か?嘘ついてないだろうな」
「嘘じゃないよ。揺れもほとんど感じないし、酔い止め飲んでなかったとしても大丈夫なくらい!」
そう言ったところでそんな訳あるかとため息が返ってきた。