苦くも柔い恋
そっと手を伸ばし、千晃の頬を撫でた。
「嫌いなんて言ってごめんね。気持ちが分からないなんて嘘、…本当はずっと好きだったよ」
「……」
「認めるのが怖かったの。また昔に戻るんじゃないかって」
じわりと涙が浮かび、泣きたくないという意に反してそれは勝手に肌をつたい降りていく。
「けど…私も変わらなきゃって」
千晃が変わってくれたように。
どんなに過去に怯えようと、未来を不安がろうと、結局この想いを捨てることなんてできないのだから。
それほどまでに、今この瞬間、目の前の男を強く欲してしまっている。
「だから、もう一回…やり直そう」
「和奏…」
「今度は私も逃げずに言うから。ちゃんと向き合うから。だから…」
千晃の首元に腕を回し、強くしがみついた。
「これからもずっと、私を好きでいて」