苦くも柔い恋
どうか変わらないでほしい。
このまま抱き締め返してほしい。
そんな願いを込めて必死に伝えた。
全身が心臓にでもなったのかと思うくらい激しい動悸が身体中を支配していたけれど、それを恥ずかしがる余裕は無かった。
ただひたすらに千晃の言葉を待ち、そして少しの間の後ゆっくりと首に巻かれた腕を解かれた。
「和奏、」
名前を呼ばれるや否や唇が塞がれ、口内が千晃のもので侵食されていく。
そしてそれが離れたかと思うと、首筋から喉元そして鎖骨へキスを落とされた。
「好きだ、和奏」
首筋にかかる息がくすぐったかったけれど、それ以上に紡がれた千晃の言葉が嬉しかった。
「…うん」
「今度は間違えねえ」
「うん」
「二度と離してやれねえが…いいのか」
千晃の言葉を聞き、笑い泣きなんて変な顔をしながらその頬を撫でた。
「うん。…ずっとそばにいて欲しい」
そう言い、千晃の頬にキスをした。