苦くも柔い恋


「蜜月は楽しめたか?」


その絶妙な言葉選びに若干引きつつ、かと言って上司を無碍にもできないので口角を引き攣らせるだけに止めた。


「そんなんじゃないですよ」

「そうなのか?」

「まあ…仲直りはできました」


あれを仲直りと表現するには微妙だが、明け透けに話す事でも無いので簡単に濁しておいた。

それは良かったな、と穏やかな笑みを浮かべて席に戻ろうとする香坂を呼び止め、和奏はずっと聞こうと思っていた事を尋ねた。


「そういえば、休み前に言ってたことって何ですか?」

「休み前?なんだっけ」

「えと、覚悟が必要とかなんとか…」

「あー、あれね」


香坂は思い出したように言い、改めて向き直る。
そしてあまり大きい声で言うことじゃないしなと言ってその辺にあった椅子を引いて座った。


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