苦くも柔い恋



悩み相談から散々巻き込んで今もこうして話を聞いてもらっているところから、本当に良い人だなとつくづく思う。こういう器の広さを持ってこそ大人の男と言えるのだろう。


「その…失礼ついでに聞くんですけど」

「なに?」

「その愛される覚悟って、どうすればいいんですかね?」


千晃を好きでいる覚悟は決めている。
けれど逆は分からない。

誰かに異性として好きになってもらうこと自体初めてなのだから。


「お前な…ちょっと俺に頼りすぎじゃない?」

「すみません。今のところ香坂さんの言った通りになってるので、つい」

「そうなん?俺意外とアドバイザー向いてる?」

「転職は勘弁してくださいね。これ以上人が減るのは困るので」


確かに、と休み明け初日から残業をしている面々を見て香坂は哀れみの視線を向けた。



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