苦くも柔い恋
スポーツが苦手な和奏は球技大会や体育祭なんかはほぼ見学に徹していたが、文化祭だけはクラスの役に立てる唯一の行事だった。
1年の時は参加するだけだったその行事は2年からは提供する側に回る。
和奏のクラスは被服部が多かった事もあり、着物を着て接客する和風喫茶に決定した。
内容は至極シンプルで、市販の和菓子と茶道部の指導で点てられた抹茶を提供するというもの。
これは和奏とは別のもう1人の茶道部員が和菓子屋の娘で、クラスの副委員長であったことも影響が大きかった。
そんな訳でこれまでとは違って今回のイベントに関して和奏が担う役は多く、それなりに張り切っていたし浮き足立っていた。
出し物を決めた夜、同じように美琴のクラスでも話し合ったのだろう、夕食時に美琴が学校の話を持ち出してきた。