苦くも柔い恋
美琴を連れて近くの喫茶店まできた。
学生の頃から何度も通っていて、オーナー夫妻も顔見知りなのでそこが一番安心できる場所だった。
向かい合って座り、美琴は注文したココアを優雅に口にしていた。
「どうして私の家が分かったの」
汗の滲む手で服の裾を握りながら尋ねた。
美琴はこちらを一瞥すると、かちゃりとカップをソーサーの上に置いた。
「お母さんも詰めが甘いんだよ」
「え?」
「和奏とお母さん達が連絡取ってる事なんてすぐ気づいたよ。だからスマホを拝借して、メッセージを確認していったら全然違う名前で登録されてたけど、内容を見たらすぐ和奏だって分かった。履歴辿ったらそれっぽい住所見つけて笑っちゃった」
「…勝手に見たの?」
「親のスマホを借りて何が悪いの?」
にこりと微笑む美琴に罪悪感の文字は無い。
押し黙る和奏に、美琴はテーブルに肘を立てて乗り出した。