苦くも柔い恋



そう聞けば、大きな瞳はゆっくりと細められた。


「あんな事って、どれ?私が千晃と付き合ってるって言ったこと?彼氏って嘘ついたこと?…和奏の前でわざと、そう見えるよう振る舞ってたこと?」

「全部だよ」

「えーもう、欲張りだなぁ」


美琴は笑ったけれど、すぐに真顔へと一変させた。


「だって、ムカついたんだもん」


冷え切った声にびくりと体が跳ねる。
美琴はこんな顔をする子だっただろうか。


「なんで和奏なの?美人で優秀で、誰よりも千晃に似合うのは私でしょう?なのに千晃は昔っから和奏和奏って、あんたの事ばっかり」

「……」

「和奏はいいよね。お母さん達だって和奏の味方ばっかり。あんたはいつも私が欲しいものを奪っていくの」


——私が、美琴の欲しいものを奪った?


そんなわけないじゃない。
いつだって何もかもを手にしてきたのは美琴だった。友達も、自尊心も、羨望も、かつては千晃だって。


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