苦くも柔い恋
ぐっと手に力を込めて、強く言い返した。
「そんなことしてない。美琴は何もかも持ってたじゃない、どうしてそんな事言うの」
「何もかも…?」
ピクリと美琴の眉が動き、鋭い視線が射抜いた。
「あんたに私の何が分かるっていうの…!」
机を叩き、美琴は怒鳴った。
こんなに激しい感情を露わにする姉を見た事が無くて、思わず硬直した。
お店の奥さんが心配して顔を出してくれたけど、大丈夫ですと言って謝罪をして下がってもらった。
美琴は黙って座り込むと、そのまま口を開かなくなった。
そしてしばらくの静寂の後、ぽつりとつぶやく。
「和奏、あのね」
その声は泣きそうにも聞こえた。
「私、あんたのこと大嫌い」
初めて見る美琴の涙だった。
いつも自信に満ち溢れ、誰よりも輝いていた美琴はそこにはいなかった。
そこにいたのは絶望に色を染め、静かに泣いてる女の子だった。