苦くも柔い恋
「千晃はキス上手いでしょって…せ、セックスも…弱いところとか、言ってきて」
「なっ…」
「確かに全部本当だったから。私だけが知ってるはずなのに、なんでって」
千晃を疑いたくないのに、美琴は絶妙にその隙をついてくる。
思えば昔からそうだった。
自分たちに会話が足りていない事を知っていてそこに漬け込んだ。
信頼が出来ていない事をいい事に、嘘をついた。
そしてそれを全部わかっているのに未だ美琴を信じてしまう心を知って、今もこうして苦しめてくる。
どうしてそこまで嫌われてしまったのか分からない。
一体何に心を痛めればいいのか、もう分からなくなってしまった。
「和奏…」
千晃は抱きしめてくれるのに、何故か心は寒かった。
何か言って欲しい。何も言わないで。
矛盾する相反する心がせめぎ合ってぐちゃぐちゃになってしまった。
「和奏、俺は、」
その時だった。スマホが着信音を知らせたのは。
鳴っているのは千晃の方。
けれど何故か、和奏にはその相手が分かっていた。